« 2009年2月 | トップページ | 2009年5月 »

2009年4月

「壬生義士伝」(上・下)浅田次郎

新撰組へ途中入隊した吉村貫一郎が主人公。南部藩今の盛岡の貧しい下級武士。経済的な理由で脱藩し江戸へ、新撰組の追加募集に応じて京都へ。元々学もあり、剣の腕も免許皆伝。新撰組では金銭に強い執着を見せ、大半を妻子へ仕送り。涙溢れる物語です。

この小説は大正に入り新撰組の生き残りが吉村を中心に新撰組の回顧を語っていくという形式をとった小説です。正直言えば、すべて語り口調で大変読みにくく感じました。また、時代が行ったり来たりするので、新撰組について予め時代の流れを知らないと、背景が分かりにくいのではと思いました。

吉村貫一郎は実在した人物ですが、この小説のキャラクターや逸話は子母澤寛の創作の様です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

舟橋聖一「花の生涯」(上・下)

今度は逆の立場、彦根藩井伊直弼の生涯を描いた小説。「安政の大獄」の印象は極悪無比の権力者というイメージだが、この小説を読むと全く逆のキャラクターである。彦根藩の14番目の末弟として生まれた直弼は自らの住まいを埋木舎と称すなど、政事嫌い、権力への執着もなく、淡々と時代を見つめていた。

しかし、ひょんなことから藩主になり、江戸幕府の大老に上り詰める。時は世界が帝国主義の時代に突入し300年の鎖国をむさぼっていた日本にも各国から開国を迫られる。一方で時代遅れの尊王攘夷の風潮が蔓延する中、直弼は自らの死を覚悟し勅許を得ずに日米修好通商条約を調印した。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

「桜田門外ノ変」(上、下)吉村昭

事件の首謀者の一人で実行現場の指揮をとった水戸藩士関鉄之助を主人公に1857年の正月から事件の起きた1860年3月、そして鉄之助が捕らえられ斬首された1862年までを描いている。

この小説では前半よりも桜田門外後、鉄之助が追手から逃れるため縁者をたより転々と各地を隠れ忍ぶという言わば「逃亡者」のような緊迫感に読みごたえがあります。さすがに吉村昭らしく史実を丹念に調べて小説に纏め上げる力量は感服しました。

事件直後は他藩の同調も得られず、関わった水戸藩はさらに弾圧されましたが、その後の薩摩、長州などの決起を促し、倒幕への契機となったテロといえると思います。

来年は事件後150年に当たり、映画化が計画されているようです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「武田信玄」(一~四)新田次郎

「風」「林」「火」「山」の4巻からなりかなりの大部です。新田次郎が「歴史読本」に昭和40年5月から昭和48年8月まで連載した著者渾身の大河小説といえます。

新田は気象学者でもあり「八甲田山死の彷徨」など山岳小説で有名です。この武田信玄は諏訪出身の新田が愛着ある信玄を彼らしく綿密な調査をへて書き下ろした作品と言ええます。

ちょっと長いですが読み甲斐のある素晴らしい作品です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年2月 | トップページ | 2009年5月 »